大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)969 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡部勇二の上告理由第一点について。

本件上告状却下命令がなされたのは、上告状貼用印紙額の不足を原因とし、その

補正命令に応じなかつたためであつたにしても、右命令は民訴法に基づき裁判長の

上告状の審査の権限たる裁判作用としてなされたものなのである。従つてまた、か

ような措置に対する不服は、同法の定めに従つてなすべく、本件の訴のごとく行政

事件訴訟をもつて求めることの許されないことは、原判決の判示のとおりである。

もつとも、現行制度としては、本件上告状却下命令に対して最高裁判所に抗告する

ことはできないのであるが、それは、不服申立の審級に関する制度の問題であつて、

憲法は同法八一条の場合を除き、これを立法に委ねているのであるから、これをも

つて憲法三二条違反とはなしがたい(昭和二三年三月一〇日大法廷判決、刑集二巻

三号一七五頁、昭和三元年一二月一一日第三小法廷判決、民集一〇巻一二号一五五

〇頁、昭和二八年六月二七日第二小法廷決定、最高裁判集民〔九〕五七七頁、昭和

三二年一〇月一〇日第一小法廷決定、同上民〔二八〕一二一頁参照)。従つて本件

のごとき別訴による救済が認められなければ違憲と主張する所論は、到底採用しが

たい。

同第二点について。

原審における上告人の国に対する損害賠償の予備的請求の追加の申立については、

別に昭和三八年二月一五日付決定書をもつて不許の決定があり、同月一九日送達さ

れていること本件記録上明らかであるから、右決定を前提として従前の訴について

なされた同月二七日言渡の原判決が、右の請求に関し判示するところがなかつたと

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しても、なんら違法は存しない。しかもその請求の追加請求に対し原審のした右不

許の決定は、本件訴訟の経過に徴し、相当である。(論旨は行訴法一六条の適用を

主張するが、仮に本件に同法の適用があるとしても、訴訟係属中の請求の追加的併

合は同法一九条によるべきであり、事件が高等裁判所係属中の本件においては、相

手方の同意を要することは、同項後段によつて明らかであるから、かかる同意の存

しない右請求の追加的併合の不適法なことはいうまでもない。)論旨は理由がない。

同第三点について。

論旨は憲法違反を主張するが、本件の各請求が明らかに不適法でその欠缺の補正

しがたいものであるから口頭弁論を経ることを要しないものとして控訴を棄却した

原判決は正当であり、原審のとつた法律の解釈適用が裁判官の良心に従わない不公

正なものと推認するに足りる事情は全く見当らないのであるから、これを憲法七六

条三項違反と主張する所論は、その前提を欠くものというべきである。論旨は採用

に値しない。

同第四点について。

訴訟のための印紙貼用が司法上の手数料の納付であるにしても、それは法定額の

印紙を貼用した申立に対しては、裁判所は法令に従つて審理裁判をしなければなら

ないというだけのことであつて、控訴状に法定額の印紙が貼用されている以上裁判

所は不適法な訴についてもなお実体判決をしなければならない義務を負うものでな

く、また実体判決のできなかつた場合は印紙額を返還しなければならないものでも

ない。論旨は、訴訟物の価額に応じた法定額の印紙貼用による手数料の納付に対し、

裁判所は反対給付として実体判決をなすべき義務を負うとする独自の見解を前提と

するものと認められ、到底採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

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最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

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